たかしまを彩る人 color.1 水口良子さん

高島市マキノ町の観光名所のひとつ、メタセコイヤ並木の入り口ほど近くにある原木椎茸と無農薬野菜の「みなくちファーム」。


4,2ヘクタールの畑には年間約100種の無農薬野菜が作付され、夏は野菜、冬は乾物商品など、市内外にある道の駅や飲食店へ卸している。


そして肉厚で香りが良いと人気の原木椎茸。自伐したクヌギの原木に植菌し、収穫は5トンに上り、マキノ町が特産地という認知度を押し上げている。

 

肉厚で香り豊かなみなくちファームさんの原木椎茸と菜の花。


この仕事を始めるまでは専業主婦で、実は虫も苦手だったとにこやかに振り返る良子さん。


転機は2014年。輸入販売業を営むご主人がそれまでの事業を手放し農業を始め、良子さんはサポートすることに。



 耕作放棄地の小さな土地から始めた農業は、まるで一筋縄ではいかない「土」作りに明け暮れた。


かつて百瀬川の氾濫が幾度とあった時代背景から土壌は多くの石を含む。掘り起こせどいくらでも出てくる石を除く作業に半年費やしたという。

 

「ようきばってるなぁ。」そう声をかけられることも増えた。


農業は台風、豪雪など厳しい気候や自然の営みに向き合うこと。地道でひた向きな畑作りに、次第にご近所や近隣の農家にも認めてもらえるようになった。


また、土地を譲ってもらえるご縁も生まれたお陰で、二年前に遭ったホダ場の台風被害も乗り越えることができ、現在は町内各所で栽培している。



栽培に使うホダ木は、椎茸の品質を保つため3年を過ぎると交換し役目を終えたものは堆肥にして土に還す。


里山を守ってくれた先人の知恵と工夫があったからこその今。高島は水も自然もキレイで必要なものは揃っていることを農業を始めて実感したと言う。


土から始まり土で終える自然に習い寄り添えるよう「循環型農業」で地域貢献していきたい。高齢化で担い手が減る高島の農業に意欲をにじませた。



就農して6年。自分に向いているか分からず葛藤もあったけれど、購入して下さった方からの「おいしかったよ」という声や、仕事で生まれた方々とのご縁が励みとなり、ここで自分たちにしかできないことを見つけた。


 イチからもの作りすること、そして感動してもらえること。それはやりがいと愉しさを実感する日々。食べることは欠かせない。だからこそ、と。



昨秋、ピザ窯とおくどが出荷場に併設し、その近くに香草やハーブも育て始めた。


想いを同じくするスタッフにも恵まれ、今後は収穫した野菜を使ったピザ作りなど食育プログラムや馬と散歩するプログラムも計画したい。と語ってくれた。



 「では畑へ案内しますね。」良子さんが颯爽とトラックを走らせた先。大根、白菜、ブロッコリーなど、収穫期を迎える菜花の群生があった。



大きく育った大根からぐん、と立ち上がる白い花は圧巻。足下に揺れるナズナ、オオイヌノフグリやホトケノザ。これら可憐な春の野草がにぎやかなのは土の栄養バランスが良い事を知らせてくれる。



明朗快活で笑顔を絶やさない良子さん。ここ高島で、美味しい野菜と原木椎茸の作り手としてご主人やスタッフと今後もチャレンジを続けていく。


ハーブ担当の瀬口さんと


みなくちファームさんの人気商品、色大根を使ったカラフルな乾物。高島ならではの幅が太めの干し大根は、隠れた特産品とも。主婦目線を活かし商品の袋詰め、出荷業務は良子さん担当。手塩にかけて育てた野菜をより多くの方に手に取って頂けるよう、疎かにはせず、こだわりたいと言う


(取材:川島沙織)


【みなくちファーム】

代表:水口淳

滋賀県高島市マキノ町蛭口1386-8

[ TEL ] 0740-20-1271(受付6:00~22:00)

[ FAX ] 0740-22-1898

[ mail ] info@minakuchi-farm.com

[ 販売所] マキノピックランド、道の駅マキノ追坂峠、道の駅藤樹の里あどがわ、道の駅アグリの郷栗東、琵琶湖大橋米プラザ など

※詳細はFacebook「みなくちファーム」さんでご確認下さい

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