Go for it! #20 「Cafe&Studio Chi-no(チーノ)」オーナー中野真弓さん

 赤の大きな木製扉と、ハワイアンテイストの店構え。

自家焙煎のコーヒーと、ふわっとモチっとした食感と軽さが魅力の揚げドーナツ「マラサダ」のお店「Cafe&Studio Chi-no(カフェアンドスタジオ チーノ)」の店主・中野真弓さんを訪ねた。


 お店では、店内飲食とテイクアウトができ、写真スタジオも併設。撮影の合間や、付き添いの方の待ち時間などにもカフェを利用できる。

編集部もテイクアウトしてきました。差し入れなど、お土産にも喜ばれそう。プレーン、シナモンは¥250(税込)。季節商品や限定メニューあり。Instagramで新メニューが確認できるのでチェックしてみて。


 「お客様から、『うちの子を撮ってくださった方ですよね?』と声を掛けられることも。」

 

〈千野さん〉といえば、ファミリーフォトなどを手がける「千野写真・本店」(高島市勝野)を思い浮かべる方も多い。昨年末より同店の今津にある店舗を改修し、今年8月にカフェコーナーを先駆けてオープンした。


 真弓さんは、地元銀行の行員として働いたのち、店の経理を担当。結婚後は、カメラマンとして戦力に加わり、30年以上撮影に携わっている。



店のマラサダのメニューは、プレーンを始め、シナモン、カスタードなどの定番と、季節限定・店内限定の商品が楽しめる。


もとはポルトガルで親しまれた家庭の伝統的お菓子で、移民によって伝えられたマラサダは、やがてハワイのローカルスイーツの定番に。


 「マラサダは想い出の味で。ハワイへは重度のアトピーだった息子の転地療法にと、家族で毎年訪れていました。行くと必ず馴染みの店で購入していました。」


店のメインメニューにと決めてから本場の味を再現すべく、大阪にある専門店のオーナーに掛け合い、本業と並行しながらマラサダ作りとコーヒーの焙煎修行に通ったという。

使用する豆のレパートリーも順次追加されるとのこと。


 「仕込みから生地発酵まで3時間。気温や湿度によって寝かせる時間が違ってくるので、ふっくら丸いフォルムに揚がると、それはもう愛おしくて。『美味しいって言ってもらいなよ。』って、送り出しています。」と笑った。


マラサダは揚げパンよりもきめ細かい生地で、飽きの来ない素朴な味わい。リピーターがよく購入するのもプレーンに次いで、シナモンが多いそう。


 「マラサダと合うように、ほどよい苦味と余韻を楽めるよう仕上げている自家焙煎のコーヒーもおすすめ。併せてお楽しみいただきたいです。」と真弓さん。



 店では、二十歳の記念撮影のほか、バイク撮影のメニューも始まる。バイクの乗り入れ可能なスタジオは、県内でも少ない。


自身もバイカーだと語る真弓さん。

子育てがひと段落したのを機にバイク再開宣言。合間を縫って、日帰りで走りに行くことも。


 「本店でさせて頂いているペット撮影では、ご家族だけが知る最高の角度や表情があって。バイクも同じで、オーナーの想いも多様。そこにチャレンジしながら、できないことができるようになるって、嬉しいじゃないですか。」と、声を弾ませる。


3代目カメラマンとして研鑽を積んできて、人生も折り返し。

このまま現状維持で過ごす選択もあった。


 「以前、自宅に猫を2匹迎えたのですが、うち1匹が2歳で急死して。迎え入れた当初に思い描いたその子達との未来と違ってしまって。」


その半年前には肉親との別れも。

命の重みと、儚さ。人生の終わりに良い人生だったと思えるように生きよう、そう気づかせてもらったと真弓さん。


 「昔ね、この近くに高校生が立ち寄る大判焼きの店があって。再会した友人と、その店での様々な思い出話に盛り上がることがあったんです。」


思い返せば楽しくて、温かい。そんな景色が、この店からも生まれたら良いなと―。

変化する時代のニーズとともに、少しずつ形を変えながら。


 小学生の頃、夕飯支度の母親に代わって店番することが日常だった。

試験前にコピーに寄る高校生も多く、声をかけてくれたり。

現像写真の受け取りに来る客と、他愛の無い会話と交流があってー...。


そしてまたこの店に立ち、色褪せていた懐かしい景色が重なり合う。


やさしくて、甘くてホッとするマラサダと。

地域の人と関わり、愛される店として。

新たな色が加わり、また動き出す。

(取材/川島沙織)



Cafe&Studio Chi-no(チーノ)

滋賀県高島市今津町今津1587-3

11:00-17:00 

売り切れ次第終了

火・水定休 臨時休業あり

0740-20-1137

インスタグラム @cafestudio_chino

HP http://studio-chino.co.jp

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