たかしまを彩る人 color.21  ベビーマッサージ教室「ゆるん」主宰・大江千華(おおえ ちか)さん

声をかけ、そっと手を当てる。

なでる。

トントンする。

ごくありふれた日常にある、

手を介したお世話の

ひとつひとつ。


日々のささやかな

コミュニケーション。


たとえ、あなたが覚えていなくても。

あなたと、心温かな瞬間を重ねて。

すくすく、大きくなあれ。



 「ベビーマッサージは、特別なものは要らなくて。いつでも、どこでもできるのが魅力。日常の中で小さな豊かさを感じられるひとときと、笑顔が生まれる場作りができたらと思い、活動をしています。」


そう話すのは、生後2か月からあんよの頃までの赤ちゃんとママを対象にした「ベビーマッサージ教室ゆるん」を主宰する大江千華(おおえ ちか)さん(高島市今津町)。


教室は高島市と東近江市をメインに開催。



場所はカフェや公民館施設など。要望があればママさんの自宅への出張訪問にも対応している。



ベビーマッサージとは、赤ちゃんの肌に直接触れるマッサージケアのことで、表情や体調を観察するコミュニケーション方法の一つ。


赤ちゃんのストレスの緩和や安らぎを与え、睡眠の質を良くする効果も。


そのほか、母子ケアとしては「タッチケア」や「カンガルーケア」などもあり、日本では1990年代より産院や専門的な場から取り入れられていて、ベビーマッサージはその延長ともいえる。


また、ママやパパが、赤ちゃんに寄り添うケアをすることで、お互いに愛情や絆が深まるというメリットがあるという。


千華さんが伝えているベビーマッサージは、シンプルで自宅でも取り入れやすい。同じような月齢の赤ちゃんがいるママとの情報交換や、息抜きの時間としても親しまれている。


 女性は、新たな家族が増え、産院から自宅へ戻ると、一日の慌ただしさを痛感する。

そして、「今は大変だけど、この時期の可愛さは本当にあっという間よ。」と、励ましてくれる先輩ママにも、いつか出会う。


そんな含蓄のある言葉は、育児真っただ中にいると、どこか遠いものに思える。


子を寝かしつけ、家事育児に奔走したある一日の終わりに。


寝室で天使のような寝顔と寝息を確かめて。日中とはまた違った愛しさに、目を細める瞬間が訪れる。


そして、そのわずかな静けさに、ふと我に返る。

 〈 今日、わたしはあなたに笑ってあげたかしら。〉



そんな風に、世話に関わることに気を取られたまま一日を終え、じっくり向き合う時間を取れていなかったことに気が付くことも。


また、ママの頑張りが続く時は、その緊張を受け取っているのかのように子どもが不機嫌になることもしばしば。


そんな時は、リフレッシュがてら、ベビーマッサージを試してみるとお互いに良い循環が生まれるかもしれない。



 「実はマッサージをする側も心地よくなるんです。なので、お子さんのために〈ちゃんと覚えなくては〉と気負わなくて大丈夫です。教室では、お子さんと心地よさを共有して、ゆるんでるん♪と楽しくなって欲しいです。」


ベビーマッサージ教室が行われたその日は、母子とも終始なごやか。

ママはお子さんの反応やペースにじっくりと寄り添い、微笑ましく温かな時間を過ごした。

最初に、深呼吸。そして赤ちゃんに開始の声かけをして始める。
無理には進めず、赤ちゃんの思いを尊重しながら優しく進めていく。
お歌の練習、耳、足裏、背中とほぐし、最後はパカパカとリズムよくマッサージ。
ねぎらいながら声かけをして終わり。



教室の終わりには、お子さんの反応が良かったり、お母さんが良いなと思ったやり方をひとつふたつ、持ち帰っていただければ十分です。と千華さんは声をかけていた。




2022年、千華さんは結婚を機に、東近江市から夫の地元・高島へ。

昔、保育士になりたいと思っていたこともあり、ベビーマッサージで、ささやかで愛おしい瞬間に出会えるお手伝いをしようと一念発起。


かねてから、〈この方から学びたい〉と思っていた先生が資格講座を開講したことを機に受講。昨年10月に資格を取得した。


素晴らしい先生と、そこで想いを同じくする仲間と出会えたことが、さらに励みになった、と千華さんは振り返った。


それから、その仲間と〈高島市で継続的に子育てイベントをして、高島のママに届けたい〉という想いから「高島ひよこクラブ」を発足。2023年7月に「高島ハイハイあんよレース」を開催し、イベントは大盛況。


今年の12月には、クリスマス会を兼ねた親子イベントを計画中だそう。


 千華さんは、仕事に追われた独身時代、リフレッシュにとアロマテラピーを学び始め、検定一級を取得。その後、ハンドトリートメント資格も取得した。


 「体験会以外のレッスンでは、ご家庭で安全に使えるエッセンシャルオイルのアドバイスや、ママさんへのハンドマッサージも対応可能です。」


 かつてはブライダル業界にも携わったという千華さん。当時、彼女が居合わせたのは、家族の始まりの場だった。


そして今。

ママと赤ちゃんがふれあい、豊かな時間が生まれる場に居合わせている。


 「参加した方から、もっと早くに知りたかったと嬉しいお声をいただいたり、遠方から参加くださる方もおられるので、今後は、必要とする方に伝わる方法を工夫していきたいです。」と語った。

(取材・撮影/川島沙織)



ベビーマッサージ教室ゆるん

主宰・大江千華(おおえ ちか)


対象:生後2ヶ月〜あんよの頃までの赤ちゃんとママ

(予防接種後24時間以内のお子さんのご参加はお控えください)    

定員:1〜4組 

(内容によって定員が異なります。マンツーマンレッスンも対応可能)

内容:ふれあい遊びから始めるベビーマッサージ


その他、イベント詳細・お問い合わせは下記をご確認ください

https://lit.link/chicadayo



撮影協力:Hさん、Fさん2組の親子さま。取材にご協力くださり、ありがとうございました
撮影地協力:株式会社栄さま


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