Go for it! #10 ほかほかパン教室 講師 飯田洋子さん
自宅でも、気軽にできるメニューとパン作りを楽しむ「ほかほかパン教室」(高島市働く女性の家・今津町今津)。講師の飯田洋子先生の講座に伺った。
生地を捏ねたり叩きつけたりリズミカルな音と、和やかな談笑が入り混じる調理室。
やがて静かに広がるパン生地が発酵する匂いは、どこか穏やかな気持ちにさせてくれる。
10 月初旬、窓から入る日差しは顔が火照りそうな陽気。窓から降り注ぐ日差しのもとでは、カラメルソースを煮詰める香ばしい香りの湯気が昇る。
教室では、メインのパン2種 と季節に合うメニューの合計4品を作る。
パンには国産小麦粉を使い、素材の美味しさを感じられるように香料は入れず、なるべくシンプルな材料で作れるレシピだそう。
取材した月のメニューは、ベーコンエピとさつまいもパン、豆腐グラタン、しっかりプリン。
パンに添えるおかずやデザートは家庭でのアレンジや再現率が高いことで好評の飯田さんの教室。身近な食材で、また作ろうと思えるメニューを心掛けているという。
この日は主婦の先輩とも言える世代が参加し、手際よく腕をふるっていた。
「受講される世代はさまざまで。お孫さんやご家族に作りたい。と参加される方や、レパートリーを増やしたり、お子さんと一緒に作るために子育て中の方がグループで来られることもあります。」
飯田さんは、下のお子さんが入園したのを機にパン作りを習い始める。
そんな折、パンやお菓子作りを教えてほしいと言われ、お友達の3人に教えているうちに習いたいと手を上げる方が増えていき、仕事が休みの日に講師活動をするように。
気が付けば今年で 11 年目。開催人数に満たないことが続くと、そろそろ潮時かと思うことが何度かあったという。
「そんな時には、不思議と新たに生徒さんが加わって下さったり。自宅で復習をしたことを知らせて下さったり。教室を楽しみにしているという声に励まされてここまで続けられました。」と飯田さんは話す。
月末までには翌月のレシピを決めて、テキスト準備と受講生に向けたお知らせをする。事前に自宅でおかずの一品として作り、家族の反応も参考にして味の調整をする。
普段は別の仕事に従事している飯田さん。
月に2度の教室準備は、家族とのやりとりも楽しみながら、暮らしの一部となった。
毎年12 月はシュトーレン。シュトーレンとは、ドイツ発祥のクリスマス定番の焼き菓子。ラム酒を利かせた生地に、ドライフルーツやナッツ等を混ぜて焼いたもので、表面に粉砂糖を振り仕上げる。
シュトーレンはクリスマス前に焼き、カットして少しずつ食べて当日を迎える。クリスマスへのカウントダウンとともに、練りこんだ素材がなじんで味が変化する過程も楽しめる。
おさらいを兼ねて、毎年この講座を楽しみにしている受講生もいるとか。
「受講生さんで自然と役割分担して仕込みをして下さるので、作業中はできるだけ要点を押さえてお伝えしています。」
自宅で気軽に楽しんでもらいたい想いから、使用するものに細かな指定はなし。代用できるものがあれば、それを使う柔軟さも伝えている。
たとえば、ベーグルを茹でるとき。つなげた部分が外れてしまうことがあっても実際に作ってみて加減を知る。
「失敗があっても、次への学びに繋がります。ご自宅でもやってみて、うまくできたというお声を聞くと嬉しいです。」
焼きたてのパン生地の中にはじんわり優しいサツマイモの餡。ベーコンエピは買うものだと思っていたが、作ってみたいと興味がわいた。
焼き上がりを待つ間は、レッスンの振り返りとアドバイス。
試食の時間ではレシピをベースに、受講生同士でアレンジメニューの話が飛び交う。
美味しいを生み、美味しいを育む時間。ものごとを詰め込みすぎず。こうあるべきを手放して。 余白を残す良い塩梅には、生み出す力があるのかもしれない。
「それに、私自身の性分もそうなので。気軽に、気楽に。そんな気持ちで一緒にパン作りを楽しんでいただけたら。」と穏やかに笑った。
(取材・撮影/川島沙織)
「しっかりプリン」近年人気のとろける系ではなく昔ながらのしっかりした口当たりのプリンを再現。プリンといえばあの老舗洋菓子店。あのプリンを彷彿する一品。
「ベーコンエピ」
「豆腐グラタン」ホワイトソースよりも軽く、ツナをアクセントにヘルシーな仕上がり。
ほかほかパン教室 講師:飯田洋子先生
毎月 2回(不定期)10:00-13:30
受講料 ¥2,000
高島市働く女性の家 1F調理実習室
要予約(定員6名)
開催人数に達していない場合は、講座をお休みすることもあります。
問い合わせ先:
高島市今津町今津1640
0740-22-5775
0コメント