Go for it! #08 HAARU ストアマネージャー 澤村可奈子さん
足早にやってきた梅雨から、幾日か晴天が続いた。初夏らしい青空と暑さを含んだ6月のはじめ。
黒のサイディングを基調に木目の優しさが引き立つ店構えの「HAARU(ハアル)」(高島市勝野)。ストアマネージャーの澤村可奈子さんを訪ねた。
お店は、2020年10月にインテリアグリーン、関連雑貨や庭、外構デザインを取り扱うお店としてオープン。
建築や土木事業、デザイナーズ住宅なども手がける「株式会社澤村」の敷地内にあり、住宅から外構までのニーズに応えるワンストップの動線も魅力となっている。
独身の頃は地元の近江八幡市で、飲食店のマネージャーとして充実した毎日を過ごしていた可奈子さん。
ある日、母親が無理を重ねて体調を崩し、実家を見舞いながら通勤するハードなルーティーンは、自身の疲労のピークとともに身の振り方を考えるきっかけとなる。
後任者が育つのを見届けると、その仕事から退いた。
現在は小学生と園児のお子さんの母親。庭いじりが好きな母親の影響で自宅でタイムやミント、カモミールなど様々なハーブを育てている。
「息子に遊ぼうと促されて、一緒にキックボードで駆け抜けたり、二人が遊ぶ姿を見ながら庭の手入れをしたり。」かつてとはまた違った忙しさに微笑んだ。
昨年、チャレンジしてみないか、と声を掛けられ、店のプロジェクトチームに参加。オープンまでは瞬く間の一年間だったという。
静と動。かつての経験から、限界を超えないことを心掛けて。育児や家事も自分なりのバランスを取りながら。
ついあれもこれもやってみたい!と早る気持ちもでてくるけれど。精力的に動くことと、自身が掲げる理想に囚われてしまうことは似て非なるものと。
地域の人やスタッフ。昔から何時も周りの方々が支えて下さるお陰で。と穏やかな口調で可奈子さんは振り返った。
開店前、植物の手入れをしながら「あんな風にしなやかさを持つ女性になれたら素敵ですね。」と視線を移す。その先には、風に揺れる落葉広葉樹のアオダモ。すらりとしつつ、枝ぶりは自由。しなやかに風を受け流し、根を張りぐらつかない芯の強さ。
朝、赤く実ったジューンベリーを摘み取り、登校する息子を見送ると、グミなど自生した実をほおぼりながら帰ったあの道を思い出す。
ふと。日々のささやかなひとコマに、かつて五感を揺さぶった情景が甦る。
梅雨の舞い戻りを知らせる風が、開け放った店内の葉を揺らしながら吹き抜けていく。
葉がある暮らし。「HAARU」のコンセプトは余白を楽しむことという。日々の暮らしの中に、植物の変化を感じること。ひとつでも植物を愛でる時間を楽しんでいただきたい。と話す。
小さなお子さん連れのお客様も安心してお打ち合わせができるスペースも
「ご家族とともに年月を重ね、寄り添う植物をご提案させていただけたら。」と可奈子さん。
今後は、作家が軒を連ねたマルシェを企画し、地域と繋がるコミュニティづくりにもチャレンジしたい、と語った。
(取材・撮影/ 川島沙織)
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