Go for it! #15 Café Early Bird(カフェ アーリーバード)田中広海(たなか ひろみ)さん



 「とっておきの景色ですよ。日が落ちる頃、窓から見える景色は格別です。」と、水鳥でにぎわう琵琶湖を見つめ、田中広海さんは話す。


「カフェ アーリーバード」は、2020年10月にオープン。ランチタイムはスパイスの香り豊かなアジアンメニューや、地元湧水を使ったこだわりのコーヒーなどが楽しめる。



メニューは地のものを中心に、食材や調味料にこだわりつつもそればかりにとらわれない柔軟さも大切にしている広海さん。


人気のため定番ランチとなった グリーンタイカレー(コーヒーか紅茶のドリンク付き・税込¥1,500)は、鶏肉、きのこなど具だくさん。香辛料のさわやかな辛味とココナッツミルクの甘味のバランスが絶妙。お米は地元農家の滋味深いササニシキ。コーヒーは漕人さんによる湧水に合わせたオリジナルの一杯です。



台湾の人気屋台料理、トロリほろほろと甘辛く煮た 豚肉が楽しめるルーローハンは、八角の香り豊か。 (コーヒーか紅茶のドリンク付き・税込¥1,400)グリーンカレーに並んで人気メニューのため、こちらも定番となったそう。
コーヒーは漕人さんによる湧水に合わせたオリジナルの一杯です。



とろーりチョコの「フォンダンショコラ アイスクリーム添え」(コーヒーか紅茶のドリンク付き・税込¥980)寒くなると食べたくなる濃厚なチョコ。ランチメニューをオーダーされた場合はプラス500円にて楽しめる。コーヒーは漕人さんによる湧水に合わせたオリジナルの一杯です。



以前は食品バイヤーとして21年間従事。その経験を仕入れにも活かしている。 

食品バイヤーは、生産者と消費者の橋渡し役として生産元へ足を運び商談するほか、販売に至るまでに流行やニーズをリサーチしたり、他店と差別化をするための戦略を立てる業務も。 


東奔西走の日々を過ごす彼女。それ以前はインポートブランドを扱うセレクトショップの従業員として働きつつ、趣味の旅行に充てていたのだそう。そうやって、自身は<何のために>働くのかを割と明確にしていた、と振り返る。


その当時は日本が好景気に沸き、豊かさの象徴としてブランド商品が強く好まれた。アッパークラスの人々の考え方や、生き方を知って刺激を受ける一方で、自分の求める精神的な豊かさに確信を持つ機会でもあったそう。



カフェに訪れたこの日は、天気にも恵まれ過ごしやすい気候だった。窓を開け放していると、水鳥のさえずりが心地よく迫ってくる。


深く腰を掛けてくつろぎ、徐々に日が傾き始めた頃。


「ね、ここからの景色は贅沢でしょう。朝も素晴らしいけれど、これからの時間もそう。一人で見るなんて本当にもったいないと思うの。ぜひ見ていって。」と、広海さんは窓辺に目配せをした。 



ほのぼのと赤らんでいく空と山肌。景色全てを染めていく。

気忙しさから少し、立ち止まるからこそ見えてくる景色の広さ、取り繕わない美しさが広がっていた。





旅好きの彼女を虜にしたのはアジアの旅だった。日本では味わったことのない食事、そこに暮らす人々。活気と逞しさに溢れ、家と職場の往復の日々を過ごす彼女に癒しと元気をくれたという。


しかし年を重ねていくと、体が資本と痛感するように。56歳を目処に仕事を辞めたら3年ほど休もうと決め込んだ。


その後、ネットサーフィン中に何気なく見ていた物件に一目惚れし、思い立ったが吉日と地元・京都から高島へ移住を、早々に果たす。


「ある日、親友と訪れた水鳥観察センターからの景色に感動してね。そしたら『カフェをしてみたら?』と、背中を押されて。」 


開業するときに別の友人が立地にちなんで命名したという「アーリーバード」という店名は、早起きする人のほか、早く行動できる人という意味も。なるほど、アクティブな彼女の生き方にもリンクしている。 


広海さんの自宅は琵琶湖のそば近く。

一日の終わりに、景色とビールを楽しむのが幸せと。忙しさに染まっていたからこそ、この穏やなひとときが味わい深くて愛おしい。 


 「うちに遊びに来る猫がいて。彼女は行きたいところへ行き、過ごしたいように過ごす。まるで生き方を教えられているようです。」 


在りし日の忙しさは過ぎ去っているはず。なのに時折、奮い立つように『せねば』とタスク思考が顔を出す。すると住人となった猫に、自身にとっての良き塩梅を問いかけられては、頷く日々。


 余計な力は入れず、心地の良い物事を作り上げていけたら、と。 


こだわり農家さんのいちじくも。(取材時)


「今後は食事を楽しむ場だけでなく、満月の夜にヨガをしたり、移住者が知りたい情報の共有や、人と人を繋ぐコミュニティの場としても役立ちたい。」と広海さんは語った。

(取材・撮影/川島沙織)


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カフェ営業は12月第2週目あたりから再開予定とのことです。インスタグラムにてチェックを

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Café Early Bird(カフェ アーリーバード)

高島市新旭町饗庭1600-1 (新旭水鳥観察センター内) 

090-4306-6709 

土日11:00-17:00 営業

ランチ 11:30-14:00 (13:30 L.O) 

カフェ 14:00-16:00 (15:30 L.O) 

※お支払いは現金のみ ※営業時間の変更、臨時休業あり。 インスタグラムにて営業の確認を。 

※新旭水鳥観察センターの定休日は火曜日

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